東堂くんは喋らない。
東堂くんの意外な一面。
意外なものを見てしまった。
それは翌日、いつものようにハチを連れて公園に行った時のこと。
そこにはもう既に先客がいた。
ボールを投げる東堂くんと、それを追うココア。
ココアはボールをくわえると、嬉しそうに東堂くんの元へ駆け寄った。
東堂くんがしゃがみこんで、そんなココアの頭をワシャワシャと撫でる。
それはもう…
見たことのないような、優しい笑みで。
いつもは尖っている瞳が、慈しむように細められているその光景が、あまりに綺麗で…
気付いたら
パシャッ!
「…………」
私に気付いた東堂くんが立ち上がる。
そんな私の右手におさめられたスマホには、ココアを撫でる東堂くんの奇跡の笑顔が、バッチリおさめられていた。