東堂くんは喋らない。
ガコンッと勢いよく出てきた爽健美茶を取り出しながら、あーあ、なんて考える。
東堂くん…やっぱり来ないなぁ。
実はちょっとだけ、期待してた。
でも…そうだよね。
いつか、東堂くんが“他人は全員嫌い”と言っていたのを思い出す。
彼は、なんであんなに他人に対して心を閉ざしているんだろうか。
でも、昨日は一瞬だけど笑顔も見れて
少しだけ、心を開いてくれたように見えたのに…
やっぱりダメかぁ。
「香弥ー!」
その時、同じチームの子の呼ぶ声がした。
「いつまでお茶飲んでんの!次香弥の番だよー!」