東堂くんは喋らない。





会話の基本はその人に興味を持つこと。


相手の好きな話題を探すこと。




だけど、この隠れイケメン無口男子、東堂一哉に至っては。




学校の話をしても…!

テレビの話をしても…!

恋バナも今日の天気も私の髪型の決まり具合も!



なんの話をしてみても、ひたすらシカト。シカトシカトシカトの嵐。



シカトどころか、チラリともこっちを見ようとすらしない。




はぁ、あんたは一体何に興味があるっちゅーねん…って、あぁ゙~~!!




不意に、雷に打たれたような衝撃が私を襲う。




強く目をひいたのは彼が読んでる本のタイトル…『宇宙137億年の歴史』。




私としたことが、ぬかったわ!!!




すぐ近くにあったじゃん、東堂一哉の『好きなモノ』!!!




「ね、ねぇ!!」




私、本日22回目の東堂一哉との交信にチャレンジ。(未だ成功例はなし)





でもなぁ…私全然宇宙になんて興味ないし、これといった話題も…いや、一つだけあるわ話題!





「ねぇ東堂くん、私たちが見てる星って実は1億年前に光ってたモノなんだって!知ってた!?」




すっごい昔に確かお父さんがそんなようなこと言ってた気がするんだよね!ナイス記憶力あたし☆



すると、ふ、と東堂くんの本のページを捲る手が止まった。




そしてゆっくり私を振り向く…





おおっ!反応アリ!!!





思わず歓声をあげそうになった私に、東堂くんはものすごーーーーく微かに口元を歪めると、再び本に視線を戻した。



彼の長い指がまた、何事もなかったかのようにページを捲っていく。




えっ…なに。結局シカト!?



しかも今、気のせいかものすごーーーくバカにした視線で見られたような。





もしかして私、コイツに見下されてる!?







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