東堂くんは喋らない。






最近ちょっとは喋ってくれるようになったと思ってたのに。



また無視だよ~…。




「はぁ…」



「東堂に無視されたのがそんなにショック?」



「ショックっていうか、なんていうか…」




昼休み。私はいつものように柑奈とお弁当中だけど、いつもよりもテンションが低い。



やっぱり5月病か…。




「…香弥ってさ」



「んー?」



「東堂のことどう思ってるの?」



「え?」




どうって



「…友達だと思ってるけど?」



突然の柑奈の質問に戸惑いながら答える。



「ふーん」



柑奈が意味深な笑みを浮かべた。




「ほんと?」



「ほ、ほんとだよっ!」



「だったらいいけど」



「…ねぇ柑奈、何が言いた…」





「香弥、柑奈~!」



その時、同じクラスの理佐が来て私の言葉は遮られてしまった。




「今度は女子だけで遊ぼうって言ってたじゃん?そのことだけど~…」



「あぁ、うん。そろそろ日程決めなきゃね」




理佐と楽しそうに話しだす柑奈。




でも、私はさっきの言葉が心に突っかかったまま。





“ほんと?だったらいいけど”





…どういう意味?



たまーに柑奈は、意味深な言葉を言ってくるから困る。




私バカだから意味わかんないよっ!






< 53 / 268 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop