東堂くんは喋らない。
「言っとくけど知らない方が普通だからね!?」
東堂くんが頭良すぎるの!!
「…ふーん。
…ていうか…すき家」
「は?」
「言ってたじゃん、ボーリングの時。奢ってくれるんでしょ?」
そんな東堂くんの言葉に、思い出す。
そーだ、そういえばストライク出したらすき家奢る、とか私が言って。そうしたら東堂くんは見事ストライクを…!
「……次のお小遣い日まで待ってくれる?」
クラス会の参加費により、私のお財布は今スッカラカンに等しい状態。
すると東堂くんはいつものような仏頂面で一言。
「やだ。」
えぇっ!心狭くない!?
「じっ、じゃぁ普通の牛丼のミニサイズでもいい!?それだったらなんとか…!」
「…ふ、」
必死に妥協案を考えていると、不意に東堂くんがふきだした。
「……嘘だから。必死すぎ」
え、う、うそ…?
「どこからどこまでが!?」
「……さぁ?」
「何それー!」
でも、変なの。
からかわれてるのに、絶対バカにされてるのに、なんか東堂くんの笑顔が嬉しい、なんて思ってしまう。
滅多に笑わない彼だから。
その分、本当の笑顔に出会えた気がするのかも。
だからこんなに嬉しいのかも。