東堂くんは喋らない。
「い、いいじゃ~ん!東堂くんボーリングうまいんだしさっ!絶対楽しいよ!」
「………」
必死に彼を説得しようと試みるけど…ダメだ。
一回無視モードに入ってしまうと、彼の気をこっちに向かせるのすら困難。
「と、東堂くん!」
その時、意を決したように美和子が口を開いた。
「行こうよ!みんな東堂くんと遊びたがってるよ~!」
「………行かないって言ってる」
ゆっくり、視線をあげた東堂くんが冷たい声で言い放つ。
「…あんたうざいよ」
…ちょっと…!
「と、東堂くん…!あぁっ、美和子!」
美和子は泣きそうな顔で帰っていっちゃうしっ!
「ちょっと、今の言い方はないんじゃない!?」
東堂くんの毒舌は今に始まったことじゃないけど、
「…美和子はたぶん、本当に東堂くんと遊びたかったんだと思うよ?」
「……」
東堂くんの冷たい視線が、今度は私に向けられた。
「…………あっそ」
あっそって…!
「何その言い方!」
「………」
「無視!?」
「………」
無視を決め込む東堂くんに、イライラが募る。
「いっつもそう!東堂くんって都合悪くなったら全部無視だよね!」