東堂くんは喋らない。
「え…な、何でそう思うの!?」
「だって最近香弥が悩むことといったらそればっかりじゃん」
…そう言われてみれば確かにそんな気も…する。
「…あたしさぁ、東堂くんに、もっとクラスに打ち解けて欲しい」
「うん」
「…でも、東堂くんが人に囲まれてるの見るとちょっと…モヤモヤしたりもする」
「…うん」
「だけどやっぱり東堂くんが誰かにキツい態度とるのは嫌だし、バリア作んないで欲しいし、東堂くんが誤解されるのも嫌だし、…もっと私に心を開いて欲しいし…あー!もう何言ってるのかわかんなくなってきた!」
やっぱりダメ!ウジウジ考えるの向いてない!
ヤケになった私はホットケーキをやけ食い。うんおいしい!
「…ま、香弥のことはひとまず置いといて」
「ちょっと!置いとかないでよ!」
思わず抗議の声をあげた私に、ゆっくりと飲んでいた紅茶をお皿の上においた柑奈が言った。
「…実はさ、東堂。中学に入学したばっかの時はフツーに明るかったって噂なんだよね」
え…東堂くんが…明るかった!?
柑奈の言葉に明るい東堂くんを想像してみる私。
「…嘘だぁ」
「ホント。東堂とはかなりクラス離れてたし、私も人伝に聞いたんだけど。
テニス部だったらしいし」
えぇ!?