東堂くんは喋らない。
大きく東堂くんが目を見開いた。
「……なんで」
そして、掠れたような声が漏れる。
「…東堂くん、中学に入ったばっかの時は明るいスポーツマン系男子って、風の噂で聞いた」
「…は?なにそれ」
呆れたように眉をひそめる東堂くん。
「…なんかその噂、いろいろ間違ってると思うんだけど」
「でも、その頃は普通に友達だっていたんでしょ?」
ふ、と東堂くんの瞳が揺れた。
空気が変わったのがわかる。
もしかして私、なんかいけないこと言った!?
「…あ、あの…」
「いない」
ザッと東堂くんが立ち上がった。
ココアが驚いたようにそんな彼を見上げる。
「…友達なんていない。今も昔も」
「…あのっ…東堂くん!」
そして歩き始めた彼の背中を、慌てて追いかけた。
「私、東堂くんの話が聞きたい!」
「…は?」
「楽しいことも嬉しいことも、辛いことも悲しいことも…色んな話を東堂くんとして、もっと東堂くんと仲良くなりたい。私は…東堂くんと友達になりたい」