東堂くんは喋らない。
「幼なじみなんです。私と一哉」
ペットショップからカフェに場所を移して、注文したアイスコーヒーとアイスカフェオレが運ばれてくる前に、優月さんがゆっくりとした口調で話し出した。
ちっちゃい頃からずっと一緒にいました。
お互い、同性の友達よりも仲良くて。
でも、小5のとき一哉に親友が出来たんです。
星野翔太(ホシノショウタ)。
サッカーが得意な、優しい男子でした。
私も、一哉を通じて翔太ともすぐに仲良くなって。しょっちゅう3人で遊んでました。楽しかったなぁ…。
中学でも奇跡的に3人一緒のクラスになって、すっごく喜んでたんですけど…。
その頃から、付き合いだしたんです。私と翔太。
ほんとは…私も翔太も、一哉の気持ちに気付いてたのに。
気付いてたから…言えなかった。
言わなきゃって思うのに、なかなか言えないまま時間だけが過ぎて。
そうこうしてるうちに、ほんの些細なキッカケから…翔太が、クラスの一部の男子から、イジメを受けるようになって。
「お待たせしました」
アイスコーヒーと、アイスカフェオレが運ばれてきた。
それを一口、ゆっくりと飲んで。
優月さんがまた、話し始める。