東堂くんは喋らない。





はじめは無視されたり、でもそのうち物を隠されたりするようになって…。



私見てられなくて、一哉に「助けて」って言ったんです。




そしたら一哉、みんなの前で「くだんないことやめろよ」って翔太のこと、庇って。




それがキッカケで、翔太のイジメはなくなったんだけど、かわりに一哉が次のターゲットになっちゃって…。



しかも…翔太まで…それに、加わるようになって。




…一哉へのイジメは、そんなに長く続かなくて。



でも一哉と翔太はそれから二度と…話さなかった。あんなに仲良かったのに。



私も翔太と、すぐにダメになって。




ずっと一緒にいて、これからもずっと一緒にいると思ってたのに…それからずっとバラバラ。





一哉、それをキッカケに、人に心を閉ざすようになって。



私とも目も合わせてくれなくなった。



















優月さんの話は、私が思っていたよりずっと深刻で。ずっと痛かった。





東堂くんは、信じていた親友に裏切られて。



それで、人を信じられなくなったんだ。








「…最低なんだよ、私」



俯いた優月さんの瞳から涙が一粒、零れる。




「一哉に助けて、って言ったくせに。


一哉が苦しい時に、何もできなかった。


ただ見てただけ…私が絶対、一哉を助けてあげなきゃいけなかったのに」





< 81 / 268 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop