新選組へ ~ 連理之枝 ~
きちんと、言葉にはださないけど

お互いのおかれた状況が、わかっている

きぃさんは、これが俺達の別れになることを祈っている

「来たな・・・」

一睡も出来なかった

「そうですね」

俺は、すでに男装に戻っている

「琴、新選組には、戻るなよ?」

「きぃさん、逃げなよ」

「俺が、お前を守るって言ったろ?」

「きぃさん・・・うっ」


手刀を落とされた



【俊太郎】

琴の意識を奪った

男装しても、琴は可愛い

そっと口づけをした

お前の為なら、どんなことにも耐える

「俺が守るから・・・」





昼間、外にいる男に声を掛けた

「新選組の局長に、これを届けてくれ」

男は、驚いていたが・・・了承してくれた

琴を… いや、誠を会津へ引き渡すように

お願いした手紙だ

このまま俺といれば、長州に利用される

新選組にいれば、命を狙われる

幕府は、守ってくれない

会津なら、どこからも中立だ


誠は、恐らく記憶がある

自ら、幕府を捨て新選組にいる

俺が会津へ行けと言って、行くはずもない

こんな手段しかなかった

新選組を頼ることになるとはな…


桝屋にはお世話になった

実子がいるにも関わらず

養子として店を継がせて貰って、今日まで

随分と優遇してもらった


店を荒らさないよう、書簡などを揃えた
この事も手紙に書いておいた


新選組では、男としている

長州側で

女だと知っているのは、俺と宮部兄弟

宮部兄弟は、黙っていてくれる

昔、琴に助けられたのだとか…



「新選組だ!御用改めする!」



さよなら・・・琴


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