新選組へ ~ 連理之枝 ~
【近藤】


誠だと思っていた人物が、クレハという人物だった

敵に刺され

歳が俺の所に連れて来た


「すまないね、ケガをさせてしまった」

「そんなこと、普通言いませんよ?
これが、仕事なんだから」

「誠もそんな風に言っていたな
しかし、命あってこそだ!すまない!!」

「なるほど… 春歩が帰って来ないはず
あなた方は、優しい
それに、あったかい」

「家族なのだから!当たり前だ!!
クレハくん、気をしっかり!!」

「ゲホッ」

咳のする方に目をやると、山崎くんに支えられ総司が来た

クレハくんの横に並ぶ

「局長、よろしくお願いします」

頷く

体調が悪化することを見越して

歳が山崎くんに、総司を見張るように

指示していたのだろう


2人を励ました


誠がクレハくんを、愛おしむ様に、抱き起こし、布をとった

紅葉様だった

紅葉様が亡くなられた

「ごめん…」

誠は、そう呟いて抱きしめていた

可哀想で

背中を擦ってやることしか出来なかった

歳が
「近藤さん、一緒についてってやれよ!」

ニヤリと口角を上げて笑った

この笑い方をするときは、大概何か考えがあるときだ


御所内をスタスタと歩く誠に、驚きながら

ついていくと

目的の部屋だろう、立ち止まる

中から聞こえる口論が

誠の身の振り方についてだと、理解した


いつもと違う口調で、強めに話す誠…

記憶が戻っている…

誠ではなく、春歩なのか?


ゴタゴタと続く口論に


「くだらねぇ…」


といった後、「俺は、新選組の誠だ」


はっきりと言った


胸が熱くなった


新選組を選んでくれたことに

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