新選組へ ~ 連理之枝 ~
記憶が巡る

忘れても… 忘れたくても…

俺は、誠にはなれない…





「誠くん!!行こうか!?」

「はい」

斎藤さんは、巡察の為、沖田さんと2人

出掛けることになった


沖田さんのことだから、新しい甘味屋だろうか?


「到着!!」

「え?ここですか?」

屯所から、そう遠くないこの場所

ここは・・・

「僕が誠くんに、初めて会った場所!!」

覚えてる…

土方さんと原田さんに、後をつけられて

沖田さんに捕まった

ずいぶんと前に思える

「初めて誠くんに会った時から、僕はね
誠くんが特別だったんだ!!
誠くんのことは、1度も疑わなかった!
僕は、人に興味が無くてね
試衛館の関係者以外は、信用しない!
ずっと、1人だったから…
家族として、試衛館に受け入れて貰って
家族だけを信じてきたんだ
誠くんもそうでしょ?」

「はい。沖田さんと初めて会った時から、似てるなって思ってました
俺は、1人になれていた
今さら、人のぬくもりを知るなんて
どうかしてると思いました
家族だと、言って貰えて、嬉しかった
本当に、ずっと皆といたいって…
なんで…俺のこと、信じてくれたんでしょう?」

「誠くんだからだよ!
理由なんてないよ!僕が初めて、信用した人だよ!切るつもりなかったのに、誠くんが僕の顔を見たから、驚いたけどね?
誠くん・・・記憶、あるんだね?」

「 …はい」

「お願いがあるんだ!!
忘れたふりしててよ!このままずっと!
新選組にずっといてよ!!」

「沖田さん… 」

「総司って呼んで!平助だけ、ずるいよ」

「沖田さん…」

「総司!!」

「俺…俺!!」

「言わないで!!誠くん!!
お願い!!新選組の誠でいて!」

「俺は、紅葉を…俺のせいで…」

「誠くん…!?違うよ?
紅葉様は、誠くんが新選組を選んだこと
嬉しそうだったよ!!」

「でも… 守れなかった…
いつか、俺のせいで、皆が…」

「僕達は、負けない!!
誠!!君を守る!!約束する!!」

「沖田さん」

「総司!!」

「へへっ!総司!!」

ギュ!!

俺は、甘えん坊になったと自覚している

さみしいとか、不安とか、今まで

口にも、顔にも出したことがない

総司と同じ、人を信じて無かったから

人を信じてぬくもりを知ると

人は、弱くなる

1人には、もう戻れない、だから

甘えん坊になるんだ

嫌われないよう

不安を感じないように




かまってくれる



土方さんに、悪戯するんだよな?





「誠!!新選組の事だけ、家族だけを
覚えているふりしてね!!
大丈夫!!誠は、誰にも渡さない!!」

「総司…」 ギュウ





俺の居場所は、新選組だ!!






もう、迷わない!!
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