新選組へ ~ 連理之枝 ~
【土方】

鼻血を出して、気を失った誠を抱え

布団に寝かせた


毎晩毎晩、うなされて

記憶を取り戻す

どんな記憶かなんて、聞かない


昼間の誠は、とても幸せそうだった


あの誠は、もう帰ってこないように思えた

誠は、記憶を取り戻す度に、自分を責める

首に残った傷を指でなぞる


誠を…死なせない!


何度だって、笑わせてやる!!


俺達は、誠を守ると決めた!!


幕府から、返せと言われようとも


記憶がないと、嘘を通そうと決めている








翌朝


抜け殻に戻ってしまった

瞬きしかしない誠を抱きしめ

「大丈夫だ!」

自分自身にも、言い聞かせ

サラサラのお粥を口移しした

なかなか呑み込まず

生きることを拒んでいるようだった


「生きろ!!とにかく、生きろ!!」



俺の声は、誠に届いているだろうか?



< 168 / 323 >

この作品をシェア

pagetop