新選組へ ~ 連理之枝 ~
何も言わずに、誠が手を出した

佐々木殿が泣きそうな顔をした


「気にするな… 仕方ないことだ」


素っ気なく誠が呟く

佐々木殿が懐から白い布を取り出した

その布からクナイを誠が手に取った


「仕上げは、お前がしろよ」

「ああ」


佐々木殿の返事を聞いた誠が

唇をペロリと舐め

廊下からヒラリ
素早く屋根上へ

ドサッ


ザシュッ…


誠が落とした忍装束の者を
佐々木殿が斬った

土方さんが立ち上がる


佐々木殿を見らずに、誠が問いかけた




誠「で?どこから?」





佐「長州屋敷から、後をつけられた」

誠「佐々木に売られるとは、予想外だな」

佐「誠…」




状況がわからない




戸惑っている幹部に誠がふわりと笑って

「お別れです
近藤さん達が帰ってくるまで
ここにいたかった…
できれば、ずっと…
幸せは、永く続かないもんですね…へへ」


驚きすぎると、声が出ないものだ


佐「誠…記憶が戻ってないことにしろ!
新選組の者が片付けたと報告する!
だから…「無理だよ」」

誠が佐々木殿の言葉を遮る

振り返り、佐々木殿の顔見た

誠「嘘をつけば、お前は殺される
俺を匿えば、新選組が潰される
慶喜を舐めない方がいいぞ?
連れて帰れって、言われただろ?
支度してくる」


誠がスタスタと、部屋へ向かった


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