新選組へ ~ 連理之枝 ~
手紙を渡した翌日

あのくだらない雑用が無くなった
これで、土方さんの体の心配は、ないな


容保様、ありがとうございます


そして、その翌日

近藤さん、山南さん、土方さんにお客様が
お見えになった
俺は、お茶出しをする

お客様は、容保様の所でお会いし
新選組のことを教えてくれた
佐々木さんだった

俺が慶喜様の隠密であることを知っている

俺は、家茂様の武術のお相手役もしていた
あまり声をかけてくる者はいない
それなのに
佐々木さんは、俺のことをからかって遊ぶ

だから…… 苦手だ


「お前見らぬ顔だな?」
「はい、土方副長の小姓をさせて頂いております……誠と申します」

「まだ、子供ではないか?
ほれ、こちらに座れ!」

佐々木さんは、自分の太ももをポンポンと
ニヤニヤしながら叩く
歳知ってるクセに!!

「恐れながら、座る訳にはまいりません」

「断るか?」

引き下がれよバカ!!

ちなみに、佐々木さんは、俺の本性を知っている

「俺、17になるので…
子供ではありません」

「まだ、17ではないか?」

クソッ

諦めろよ!!!

「もう、17です」
「笑ってみろ」

「面白くも無いのに、笑えません」

「クククッ……面白いな
表情が変わらぬ!気に入った!
3日後、紅葉狩りをする!場所は黒谷!
誠を連れて参れ!容保様に合わせたい!」

紅葉狩りに、俺を誘う口実が欲しかった
からって、からかいすぎだ

「あの?俺が行って良いのですか?」

「佐々木殿が良いと言うなら、遠慮はいらんだろう!」

近藤さん…
俺、佐々木さんがいるなら
行きたくない

だって… 弄られる …絶対!!

「誠!!来るよな?」「……はい」

行くと言ってしまった


「さて、そろそろ帰る
途中まで、誠に送って貰おうかな!?」

勘弁して……

「誠!!送って差し上げろ! 」

えええええええぇぇぇぇぇ
土方さん… 今日、絶対に仕返しする!

「はい」










はぁー



無言かよ


まっ 助かるけど



「誠…か」
「似合いませんか?」

「その喋りやめろ!」
「どこで、誰に会うかわかりませんよ?」

「慎重だな?誠…?」
「山南さんがつけてくれた名前です」

「新選組の旗、見たか?」
「いえ…」

「帰ったら見せてもらうといい」
「はい」

「誠…紅葉狩り来いよ?遊んでやる!」
「……」

「本当、無表情だな?格好つけてんのか」
「うるせぇよ」

「でた!!クククッ」
「ここでいいですか?」

「もう少し、送れよ!」
「1人で帰れよ!めんどくせぇ!!」

「はいはい、楽しみにしてるからな!」
「はい、失礼致します」


あぁ……疲れた

佐々木さんは、本当に苦手だ

ついつい本性が出てしまう





でも……嫌いじゃない





家茂様と慶喜様以外で、本性を出せるのは

佐々木さんだけ

自分でも、驚くほど信頼している


紅葉狩り、怖ぇな
< 19 / 323 >

この作品をシェア

pagetop