新選組へ ~ 連理之枝 ~
御所 ②
【中川宮】


ただならぬ心労だったのだろう…

5日も寝たきりだった

その間に、やはり桂宮様に夏弥を預かったことを話した

一目様子を見て頂きたく、夏弥の部屋に
お連れした



スーーーーーッ



襖を開けると


布団には、姿がなく
目を見開いた


部屋に入らず、立ち止まったので

「いかがされました?」

後ろから、桂宮様に声を掛けられた



「おっ おっ…おかしいなぁ… 」

「なんです?」

「いないんですよね…」


振り返ると、ご機嫌斜めな桂宮様…

その表情は、夏弥と瓜二つ

その後ろに立つ人に、驚いた


「珍しいな!?桂宮が中川宮の処へ
何の用だ?」


なんということだ・・・


珍しいのは、あなたですよ!!


天子様!!


そう… 孝明天皇がいたのだ


かなりの冷や汗をかきながら、笑ってみた


「ちょっと、探し物です」


「探し物とは、これか?」

付き人に横抱きされ
差し出されたのは… 夏弥だった…


内密に匿い

どこかに預け、普通の暮らしをさせる

その前に、一目桂宮様に会わせたかった


「それよ… ありがとう」


桂宮様が夏弥を引き離そうとするが


「桂宮、いえ…姉上
ご説明下さい!
親王宣下を受けた者が、女子とはどういうことですか?」

「見ての通りです
その子は、女子
間違って宣下をしてしまいましたね
しかし、公表はされていない
他所にやりましょう!
バレないうちに…」

「内親王宣下に訂正します」

「その子は、他所にやると言っています!
私の子よ!!」

「だからですよ!姉上!!
貴方の子だからこそ、利用出来る
どこぞに嫁がせれば良いのです」

「やめて…
自由にして…
その子は、こんな暮らし
駄目よ…
お願い…」



2人の間に、割って入る



「恐れながら!!
体は、女子でありますが…
天子様もご存じのように
心は、男子として成長しております!
どこぞに嫁ぐのは、無理かと?
それに!!
一橋 慶喜と恋仲にあります!
どうか…ご配慮を!!」

「ならば… 一橋に嫁がせればよい」

「なりません!!その子は、政に関係ない
どこか田舎にやります!!」

「再び目覚めたら、本人に選んでもらいましょう!
俺の側室でも、いいですからね… 」


天子様は、夏弥の頬に手を触れた


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