新選組へ ~ 連理之枝 ~
お梢が勝手につけた名前は…


「睦(マコト)!!睦仁様の字を頂いてます!」


俺の心臓を止めそうになった


「睦様!!2人の時のみ、そう呼びます!
良い名前を思いつきました!
ね!! まっ…ことさま?」


髪結いが終わり、俺の顔を覗き込んだお梢

驚くのも無理は無い

俺の目からは、次々と涙が溢れている


「え!? お嫌でした?
どこか痛むのですか?あの!!
どうしましょう!!」


オロオロと慌てる、お梢を捕まえて
抱きしめた

さらにオロオロして、ジタバタと
逃げようとする

「ありがとう…」

耳元で言うと、大人しくなった

漢字は、違うが山南さんがくれた名前を

お梢もくれた

嬉しかった

勝手だけど、まだ新選組の一員でいるように思えた


「まことって呼び捨てしてくれ…
お梢、少しこのままでいさせてくれ…」


泣き顔を見られたくなかったが
人のぬくもりを思い出したから

ぎゅっと強く抱きしめた

遠慮がちにお梢も俺を抱きしめてくれた


どれほどの時をそうしていたか


少し気恥ずかしくなった


「…ありがとう…落ち着いた…」


照れた顔を見られたくなくて、横を向いて言った

「うふふっ 睦?顔、赤いです!」

「…俺が怖くないのか?」

「なぜ?」

「労咳から治るなんて、そうない」

「あら?私の看病が良かったのでは?」



あぁ!お梢は、紅葉に、にているのか

強引なとこも、心配性も

俺が喜ぶことも、俺を弱くすることも

俺を怖がらないでくれるとこも


「ふっ…そうだな」

「///わっ…笑った」


真っ赤な顔で、お梢は喜んだ

どうやら、寝込んだ一月半

俺は、1度も笑わなかったらしい


あ!平助と旅をしたこと、思い出した

あの時もたくさん泣いて、笑ったっけ


また、思い出してしまった


ガバッ



え…

< 257 / 323 >

この作品をシェア

pagetop