新選組へ ~ 連理之枝 ~
御所を抜け出した夏弥と

二条城へ向かう





「新選組は、どうですか?」

「近藤も元通り!問題ない!!あっすみません
口の聞き方が…」

「佐々木もそんなこと気にするんだ?
あんなにバカにしてたのにな?」

「夏弥?」

「ん?」

「何でもない」









夏弥と呼んで、返事があると思わなかった

なんとなく、雰囲気が夏弥と思ったけど

なんか、違う






お芳様の部屋に入ると

お芳様は、目を見開き起きようとした

それを慶喜様が止め

夏弥が、慶喜様の横に座った


「なぜ、医者を拒むのです?」

「こっ・・・怖いの…何か病かもしれない」

「大丈夫ですよ… 懐妊は、病と違います」


「「「懐妊!?」」」


「おめでとうございます」


一目様子を見て、夏弥は見抜いた

お芳様でさえ、気づいていなかった

「でも… すごく、お腹が痛いの・・・」


「慶喜様、誤解しないように
治療なので・・・」

そう言って、沖田を治療した時のように
舌を斬り、お芳様に口づけをした



布団の中で動く夏弥の手が止まり



唇が離れた




「はぁ~」




パタリとお芳様の横に倒れた


驚くふたりに力の説明をした


スースーと寝息をたてて

眠っている夏弥


「お腹の痛みが消えて、楽になりました」


お芳様が微笑んだ




しばらくすると



夏弥が目を覚ました




「帰らないと・・・」





言うわりに体が動かないらしく

ぼーーーっとお芳様を見ていた



「具合は?」

「すっかり良いです」

「明日、医者に見てもらえよ」

「・・・はい」


口調が東宮様でないことに

慶喜様もお芳様も気づいた




その後、なんとか起き上がった夏弥を御所に
送り届けた


翌日



お芳様の懐妊の知らせを聞いた




慶喜様が中川宮様に報告に行ったが
中川宮様からは、夏弥に会えないのだとか

正式に東宮になってから1度も中川宮の部屋へ
来たことがなかったらしい

昨日、大事な用事だったのでは?




そう思ったが・・・



聞くことも出来ない
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