新選組へ ~ 連理之枝 ~
【誠】

家茂様の所にいる間も、あまり人と関わっていない

親を殺されているから

梶田には、1度だけ刀の振り方を指南した

それだけで、懐かれたというか
たまに会うと話し掛けてくる

俺は、佐々木さんと同じくらい
梶田が苦手だ

家老を斬った時、記憶を無くしたことに

もちろん、すべて覚えている
すべては、家茂様の指示だった

女として生きさせようとしてくれた

そんなこと、望んでないのに

俺は、生き場所を失った



記憶を失った方が良かった



慶喜様が俺を助けてくれた

男として、生きることを許してくれた

その代わり、体をくれと言った

慶喜様になら……迷うことなく捧げた

心も体も、俺は慶喜様のもの



慶喜様の為なら、何でも捨てるさ




親から貰った〝春歩〟という名も捨てた

「春の次は、夏だね!夏弥にしよう!!」

慶喜様から頂いた夏弥という名が好きだ




懐から、紅葉を出した



逢いたい……
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