新選組へ ~ 連理之枝 ~
江戸にいる時も、大阪にいる時も
町に出ると不逞浪士に会う

京の町も例外なく、不逞浪士がいる

京の方が危険だな


だって…


こんな人だかりで、刀を振り回している

酔っぱらい同士のケンカかな?

巻き添え食う奴もいるだろうなぁ

「きゃあ!!」

ほら!娘さんが絡まれた…

網笠で顔を隠しているし、いいかな…

俺は、人だかりをかき分け前へ

浪士の懐に入り、娘さんの腕を掴んだ左手を捻り上げたことで、手が開く

「いけ」

娘さんを逃がすと「きさまぁーー!!」

刀を持った右手が降りてくる

その手を捕まえ、背負い投げる

酔っていたから、受身が取れなかったようだ

失神した

もう1人の不逞浪士へ向かうと

「ひぃえぇぇぇぇ」

逃げていった


もしかしたら……


俺じゃなくても、よかったか?
目立つことは、したくない

まぁいい

この場を離れよう……














…………つけられてる

たしか、この道を抜けると川だ




立ち止まり、後ろを振り返ると……


それはそれは、綺麗な男が2人立っていた

腕組みして、眉間に皺を寄せていなければ
そこらの女は、イチコロだろう、美丈夫

体格のいい、いかにもモテてます、な男

眉間の男が
「よぉ、お前なかなかの腕だな」

酔っぱらい投げる所を見ていたのだろう

さて……

どう切り抜ける?


「お前!ちっせぇのに、格好良かったぞ!
なぁ!お前、力持ちなのか?槍は、使えるか?」

顔と体格がいいだけで、馬鹿そうだな

「黙ってろ!馬鹿だと思われんだろう!」

もう思っているけどな……


よし!


軽くお辞儀をして、逃げよう

ぺこり くるり

「あっ!いたいた!!」

振り返ると、髪を高く結い上げた若い男
綺麗だが、少し幼さの残る顔

「総司!!そいつ、捕まえろ!」

モテ顔馬鹿が、指示を出した


逃げることも出来るが、この3人が何者か
知る必要があると、判断した

「はい!捕まえました!」

眉間が近くに来て

「俺たちと、一緒に来てくれ」

なぜか、優しく言われた

これは……新手の連れ去りの手口か?
俺を連れ去って何の得がある?
それとも…敵(長州の者)?
まさかな?


とりあえず
静かに頷くと、幼顔が手を離してくれた




え? いいのか?
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