新選組へ ~ 連理之枝 ~
【慶喜】

夏弥が戦っている

籠の中で、無事を祈る

周りが静かになった頃

「紅葉!!籠から出るな!」

夏弥の声がした

夏弥が、ボロを出すなんておかしい

籠から出た

頭を抱えて、苦しそうにしていた

佐々木から、体調崩しているときいていたが、悪化したのだろう

夏弥を抱きしめた

また、記憶をなくしたことにしよう


夏弥は、演技ではなく…

本当に気を失った

「なっ……春歩!!」

危なく夏弥と呼ぶ所であった

医者に見せなければ……

土「誠!!」

「触るな!!
春歩は、こちらで預かる
回復したら、新選組に戻す!
それなら、よいな?」

土「はい」


紅「春歩様!!」

「紅葉様、籠にお戻りを」

紅「私を紅葉とお呼になりましたわ!」


協力を頼んだが、かき回すでない!!


「今は、春歩を医者に見せることが優先だ!
血を見て、また記憶を失ったかもしれぬ!」


そういうことにしよう……


夏弥の顔色が悪くなっている


周りの者が、夏弥を運ぶと言ったが
触らせてなるものか

夏弥は、俺のものだ

俺は、夏弥を抱えて城に入った


家茂も紅葉も心配して、俺の後をついてくる

滑稽だ


夏弥1人に、守られる側の3人が
こうして、自ら動いているんだから


夏弥は、知っているのか?

自分が愛されていることを

人間らしい心を、取り戻して欲しくて

新選組へ近づけた

まさか、中に入るとは思わなかった

予想以上に、夏弥の心は動かされていた

土方が、〝誠〟と愛おしい者を呼ぶように

手を伸ばしたとき

嫉妬した…


夏弥を盗られたくない

そう思ったのだ







夏弥の目が覚めたからと、医者に呼ばれた

医者と夏弥と俺だけで…

夏弥が泣いていた

「どうした……夏弥?」

頭を撫でてやると、抱きついてきた

「夏弥?」

医者「お子を流されました」

なんということだ……

「夏弥…無理をしよって……」

「すみません」

「夏弥…お前にもしものことがあったら
俺は、生きてはいられない!!」

「え?」

「子供は、残念だった
でも、夏弥が無事で、よかった……」

医者の前だというに、俺は夏弥に口づけをした

容保の妻は、懐妊して体に負担がかかり
若くして、亡くなっている

「どうして、帰って来なかった?」

「だって… 迷惑かと……」

「夏弥、俺は夏弥に惚れている
わかるかい?」

「わかりません」


なんで?

はっきり言ってるのに

「夏弥のことを好いておる!」

「ありがとうございます」

絶対、わかってないな

口づけをした

「夏弥、どうしたらわかってくれる?」
「わかりましたよ?」

医者「うっほん!!
夏弥様は、安静です!
おやめください!!」


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