新選組へ ~ 連理之枝 ~
なんじゃこりゃ……
「すまねぇな…片づける暇がねぇんだ」
今夜から、ここで寝泊まりするんだな
野宿よりましか
なるほど… 小姓がいるわけだ
「明日、片づけします」
夕餉の時に、自己紹介があり
皆が寝につく頃、土方さんはまだまだ書き物をしていた
「布団自分で敷いてくれな
あと、寝る前に…茶頼めるか?
誠の茶は、旨いからな!」
夕餉の前に、1度お茶を出した
それが口にあったらしい
「はい」
1組しかない布団を敷いて
お茶を入れた
「先、寝てろ」「はい」
布団の横に寝転んだ
どうせ寝ないから、ここでいい
「はぁ?誠?布団で寝ろよ!」
「ここで、結構です」
「布団で寝ろ!」
「土方さんが一緒に寝るならいいですよ」
「仕事があるんだ」
「はい、お休みなさい」
「横にいくから、先に寝てろ!」
意外だ……
諦めると思ったのにな
土方さんと一緒に寝るのは、嫌だな
困った
「たくっわかったよ」
布団に入り、俺が入れるくらい開けて
「ほら!寝付くまでいてやるから!」
どうやら……さみしくて寝れないと
思わせたようだ
俺は女だ
誠なんて、立派な男の名前をもらったが
女だ
今更、拒否しようも無い
しかし、主人に背中を向ける訳にもなぁ
考えているうちに……グイッ
布団の中に引き込まれた
「早くここに慣れろよ」
「はい」
なんだコイツ
腕組みして眉間に皺寄せて、大声出して
全然、優しいじゃねぇか
てっきり、俺のこと信用ならねぇから
自分の小姓にしたのかと思ってた
綺麗だな
目を瞑った、土方さんの顔を
ついつい魅入ってた
ぱちっ
「寝れや!!」
急に目を開け、怒られた
「はい」
目を瞑った
寝たふりしよう
スースー
ナデナデ
土方さんは、俺の頭を撫で布団から出た
父上を思い出した
幼い頃、よく寝る前にしてくれたっけ
しばらくすると、文机の方から土方さんの寝息が聞こえた
そっと布団から出て、土方さんに布団を掛けた
眠たいのに、ムリして俺に布団を譲って
くれたんだろうな
部屋の外に出て、廊下の柱にもたれ掛かった
ずるずるとそのまま座り込む
天井に気配を感じたけど、気づかない振りして星をみた
ここの人は、今まで会った人とは、違う
あったかくて…
優しくて…
安心する
なんだろう… 居心地悪いな