新選組へ ~ 連理之枝 ~
【富沢】

誠を連れて、甘味屋に来た

「好きなものをお食べ!」

「俺、ぜんざい!!」

「俺も!!」

「富沢さん、あんみつにして!」

「なんでだ?」

「半分こしよう!」

「よし!!」



ここに来るまでに、誠に今日は俺の息子として、甘えて欲しい

敬語は、辞めろと言っておいた

かっちゃんからの文では、誠がずいぶんと様子がおかしいとあった

俺に心配掛けまいと、無理しているのが
バレバレだな

今日は、明るく振る舞おうとしているが
一度も笑っていない

こんな、誠は初めてだな


「うまいな!」

「うん!おいしい!富沢さんのあんみつ
少し頂戴!!うん!!おいしい!」

「誠のぜんざいもらい!!」

「うわぁとりすぎー!!」

わいわいと男2人が甘味を取り合う

さぞ、奇妙だろう……



町を少し歩いて、河原に腰掛けた


「息子を病で亡くした…
誠のように、素直で優しい子だったよ
少し、抱きしめていいか?」

「うん」

「誠…養子にならんか?」

「富沢さんの?」

「あぁ」

「ごめんなさい」

「何であやまるんだ?」

「忘れたくないけど、記憶が……
富沢さんのことも、忘れるかもしれない」

「忘れてもいいさ!何度でも、親子になればいい!何度でも、出会い、やり直せばいい!そう、思わんか?」

「富沢さんらしいね」

「誠…」

「気持ちだけ、受け取ります
富沢さんのこと、お父上だと、思っています」

俺は、後ろから誠を抱きしめていた

誠がくるりと回り、俺に抱きつく

可愛らしいな

頭を撫でて、背中をぎゅっと包んだ

「お父上、何度でも、俺を子供にして!
絶対だよ!ね!」

「絶対だ!誠、お前は、俺の息子だ!!」

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