新選組へ ～ 連理之枝 ～

【誠】

富沢さんは、俺と同じ

子供を亡くした親なんだ


俺は、親にはなれない


だったら、せめて…息子になろう


京を離れる訳にいかないから、養子は無理だが、息子として

素直に甘えよう


誰も信用できなかった俺が


新選組に入ってから、こんなに変わるなんて思ってもみなかった


富沢さんといると、すべて許される
そんな気になる

父親の威厳だろうか

「お父上……もっと強く抱きしめて下さい」


ぎゅっ


「あははっ…苦しい！」

「誠が絞めろと言うから、絞めたのだぞ」

「うん！ありがとう！お父上！！」

「やっと、笑ったな！誠！！」

豪快にがっしがしに頭を撫でられる

俺の頭は、今… 鳥の巣みたいだろう


富沢さんのおかげで、気が晴れた


傷つくとか



その前に、俺は皆を喜ばせたい


俺が笑うと、皆、喜んでくれる


家族だって…

言ってくれた


傷つくとか、恐れる前に


傷つけたくない


何度でも



やり直せばいい



何度でも







案外、簡単そうだな