新選組へ ~ 連理之枝 ~
「なっちゃん?」
「俺にいってます?」

「そうよ、夏弥!」
「紅葉様、どうして俺に菓子や紅葉をくださるのですか?」

「好きだからよ?」
「すみません…覚えてなくて」

「そう、その方が都合がいいわ!」
「え?」

嫌な予感

「私と結婚しましょう?」
「身分のない俺と、つり合いませんよ」

「気にしないわ!なっちゃんが好きなの!
なっちゃんが慶喜様を好きだから
身をひいていたのよ?
忘れたんでしょ?なら、良いじゃない!」

「俺…紅葉様のことも覚えてなくて…」

「いいのよ!これから、恋しましょ!」

「俺の体のこと知ってますか?」

「知ってるわよ?」

「それでも、いいと仰るのですか?」

「ええ」

強敵だ!!

紅葉…ふざけんな!!

俺の計画、グダグダじゃねぇか!!


グイッ ちゅっ


襟を両手で引っ張られ、口づけを……

「もみ……んんっ」

力いっぱい突き放そうとするけど、相手が
紅葉だと、すっ飛んでケガしそうだ

ぷはっ

ようやく離してくれたが、その勢いで

へたり込んでしまった

俺の頬を両手で挟み、再び口づけを

今度は、さらに深く、角度を変えたり
している

息が出来なくてクラクラしだしたら
解放してくれた

「なっちゃん」
「……誠です」

「なっちゃん」
「……」

「本当に覚えてないの?」
「すみません」



紅葉の口づけには、応えなかった



女同士だぞ!!ふざけんな!!

俺の初恋、さっさと嫁にいけよ!!



とはいえ……紅葉を傷つけたな

ごめんな


「紅葉様、桜綺麗ですね」
「そうね」

桜を見上げた、紅葉の頬に涙が流れていた


知ってるよ


紅葉は、型破りのわがままで有名だけど
本当は、聞き分けの良い子
誰よりも我慢している


だから、紅葉がこんなことするなんて
予想外だった


きっとこれは、紅葉の賭けで

紅葉のさよならだったんだ


俺ら、初恋同士
やること、似てるよな…
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