新選組へ ~ 連理之枝 ~
しばらく、紅葉と桜を見てから

会場へ戻った


ずいぶん酒も進んでいる

紅葉を座らせてから、席に戻ろうとした

「誠…」

「はい」

「酌を頼む」

「はい」


慶喜様に声を掛けられた

酌なら、お芳様にして貰ってればいいのに

酒をそそいでいると、慶喜様から

頭を撫でられた


「なんです?」

「桜の花びらがついておったぞ?」

「ありがとうございます」

酒を戻し

「では、失礼致します」

ガシッ

腕を掴まれた


「なんでしょう?」

「いや… すまない」


ぺこりと頭を下げ、近藤さんたちの所へ

これでいい


遠くから、慶喜様の幸せをお祈りするくらいが、俺には丁度いい


新選組については、特に懸念材料はない


もう… 報告もいらないだろう






胸が痛む



こんな苦しみから、早く逃れたい


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