新選組へ ~ 連理之枝 ~
「慶喜様…夏弥とは、どういう間柄ですか?」

「俺が、勝手に好いておるだけだ」



は?



「そっ……そうですか?」

「夏弥が俺を思っていれば、忘れても
思い出すはず
だが、思い出せぬだろ?」

「慶喜様…」

涙がぽつりぽつりと落ちた


「夏弥…?なぜ泣く?」

「たすけて……」



ズキンズキン ズキンズキン


「夏弥?」

「いったぁい……」


頭が……割れる……



苦しい




〝……の為なら、女になってもいい〟


え?



〝忘れたい〟



え?



〝いいか…誠
俺たちは、家族だ
1人もかけてはいかん
新選組は、誠の家族だ
忘れてはいけないよ?〟



目の前が真っ白になった……





『夏弥…今日から春歩だ!
春歩として、男として生きるのだ!!』



だれ……?



『 春の次は、夏だね!夏弥にしよう!! 』



この声……





慶喜様?





目を開けると、慶喜様の顔があった

「夏弥?夏弥?」

心配そうに俺を見ている

瞬きをするのがやっとだった

「夏弥?わかるか?」

頬をぺちぺちと叩かれる

思い出した……

何もかも……




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