新選組へ ~ 連理之枝 ~
医者が、体のあちこちを調べたり、色々な質問をしてくる

慶喜の腕の中で、力の入らない体
喋ることも出来ず

質問に首を振ることさえ出来ない

瞬きするのも面倒で、閉じると

「夏弥!!」

慶喜が心配するから、頑張っている

慶喜が近藤さんみたいに、オロオロして

面白い



視界が歪む……涙が、でる



「夏弥?どこか痛むか?どうした?」




「か……えり……たぃ……
しんっ…せ…ん……ぐみ……」





ここにいたら、お芳様と慶喜を見なくてはいけない


つらい

苦しい



「動けるようになったらな……」



初めて聞く、慶喜の弱々しい声


胸がぎゅってなった



俺は、認められなかったけど


お芳様は、認められた



忘れたふりを続けよう

新選組の事だけ、思い出したことにしよう


遠くから、祈るくらいがいいんだって

決めたことだ


はぁはぁはぁはぁ……
「貴方… 誰?」

「……夏弥?」

「夏弥…と言うのか?」

「慶喜だ!お前は?」

「誠」



ごめんなさい……


さよなら……慶喜









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