しつこい、それでも君に恋をする
『じゃ、最初の質問、いい?』
『いいよ』
彼は私の問いかけに、笑顔で答える。
『どうして今日は来てくれなかったの…?』
自分で聞いておきながらも、やっぱりこんなこと聞かない方が良かったのかな…なんて言ってから不安になった。
『……うーん…どうすっかなー…』
彼はやはり聞かれたくないことだったのだろうか、すごく困った顔をしている…。
その顔を見て、更に不安、いや後悔が押し寄せる。
『あ、いい!やっぱいい!』
私が間髪いれずにそう言うと、彼は困った顔で、私から離れる。
『言わないと冬香は不安になる?』
突然の予想外の台詞に、私は戸惑う。
その姿を見て、彼は自分の頭を搔き始めた。
『今日さ、実は俺の誕生日だったりするんだよね。
そんで誕生日の日まで失恋、とかさ…なんか寂しいじゃん?
うん…だから今日は、今日だけは“お断り致します”って聞きたくなかったんだよね…
って!俺言っててマジで情けねーわ…』
プッ……
私は思わず彼の言葉に吹き出してしまった。
だって、いつも自信満々に私に“付き合って”と言ってくる彼なのに、そんなことで来なかったなんて……
『…ひいた?』
彼は少し不安そうな顔をしながら、問いかけてくる。
『…ううん、本当のことを話してくれてありがとう。
秋也君が本当のことを話してくれたから、もっと秋也君を好きになれると思ったよ』
私の言葉に彼は微笑んだー…
『あーぁ……冬香ちゃんさ、俺に振り向いてくれたのはいいけどさ!
そんなにドキドキさせること、言わないでください…』
『……え、あ…こういうこと言われるの苦手だった…?』
『冬香ちゃんのばーか!
好きな女にそんな風に言ってもらえたら男はすっげー嬉しいの!
そんで、多分、どの男も離せないなって思うんだよ、特に俺は…』
そう照れ隠しなのか俯いてしまう彼が可愛くて、私は声を出して笑ってしまったんだ。