しつこい、それでも君に恋をする
『バカすぎ、でしょ?
簡単に気持ち吹っ切れないことくらい、最初から分かってたでしょ?
それなのにハルの背中を押して、親友の背中も押して?
そんで自分だけ陰で泣いてるー…』
『……別に、泣いてなんか…』
本当は、本当は泣きたい。
彼の言うとおり、ハルの想いはまだ綺麗に私の心に残ってる。
ううん、捨てきれないー…
『俺も冬香ちゃんには泣かないでほしいよ?』
彼は私の机に両腕を交差させて置き、その上に顔をのせた。
『……なんで…?』
ううん、この質問は、私が一番知っている答えだ。
きっと、彼の口からはしつこいほどに聞かされた、“好き”の言葉が返ってくる、はずー…
『冬香ちゃんさー、俺の気持ちなんて聞きたくないんじゃないの?
それとも、俺の気持ちに応えてみようかなとか思い始めてんの?』
そんなはずはないー…
心の中で彼の言葉を否定しつつも、声となり、言葉として伝えられないー…
『なーんてね、でもさ?
ちょっとは俺の気持ちに応えてよ、冬香ちゃん』
彼の気まずそうな笑みに、その言葉…。
どうしてかな、いつもならもっとちゃんと“お断り致します”って言えるのに。
『………やだよ』
『あれ、“お断り致します”じゃないんだ?』