私じゃない、彼がいた



そんな時、4人いる男の子の中の明るい茶髪をした1人がこっちを見て手を大きく振った。

一瞬、私に振ったのかと思ってびっくりしてしまったけど、すぐに前の席の男の子に振っているのだと気づいて肩を撫で下ろす。


前の席の男の子は嬉しそうな笑顔で、グラウンドにいる男の子に手を小さく振っていた。

しばらくすると男の子は他の男の子に呼ばれると、前の席の子にまた大きく手を振って走って行ってしまう。


隣のクラスの体育はリレーかぁ、なんて思いながらふと前の席の子に目を向けると、私は思わず息を飲んでしまった。



前の席の子はさっきの楽しそうな笑顔とは裏腹に、どこか寂しそうな、悲しそうな顔をしていた。

だけどその顔は一瞬で元に戻って、再び前を向いてしまう。


確か、前の席の男の子は…白石陽希、くん。
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