雨恋~雨のちキミ~
それから毎日

塾の日は帰り道に、塾のない日は部屋の窓から

あの人の姿を捜したけれど、見つけることは出来なかった


イチかバチか


元々制服が可愛いからというぐらいの理由で選んでいた私立高校から、高岡高校へと進路を変更し

今まで以上に、塾でも学校でも勉強を頑張った


そして、4月───


無事高岡高校に入学したあたしは、体育館での新入生への部活紹介の時

壇上で挨拶する男子バスケットボール部の人達の中に、ずっと会いたかった彼を見つけた

壇上から新入生達の間に飛び降りてきた先輩達は、新入生達の間をすり抜け、壁に設置されているバスケットゴールへと次々ゴールを決めていく

地鳴りのように湧き上がる歓声

新入生皆が男バスへと引き込まれ、それを境に皆の話題は彼らで持ち切りだった

もちろん、あたしも名前も知らないあの先輩への恋心を募らせ、男バスのマネージャーに立候補しようとしたけれど

きゃあきゃあ騒ぐ新入生女子を待っていたのは、2・3年女子の先輩達の厳しいチェック

マネージャーは無理だとしても、少しでも彼らを見たいと集まった男バスファンの女子達へ突き付けられたのは、運動部にも似た先輩上位の厳しい縦社会だった

特に水月先輩に対しては『抜け駆け禁止』の鉄の掟


せっかく見つけることが出来たのに、あの日以来先輩とは接触出来ていない
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