雨恋~雨のちキミ~
「………なぁ」


「ん?」


「里やん………ひょっとして、先輩のこと好きなん?」


「はぁっ?!何でそうなるん!」


目をひん剥き、心の底から驚いた表情であたしを見下ろす


「いや………だって、先輩のこと『すぐ見つけられる』って…」


「自分、アホやろ!好きな奴のことならすぐ見つけられるってだけで、誰が先輩のこと好きって言った?」


あれ?

ちゃうかった…?

そりゃ性別は同じやけど、恋愛は自由やって思ったりしてんけ…ど………


「はぁっ?!」


一瞬考えた後、とんでもないことを聞いてしまったことに気付いた


「な、何やねん」


「里やん、好きな人居んの!?」


あたしからスッと視線を逸らす


「どこ?同じ学校?ひょっとして同じクラス?」


それでも構わずに質問責め


「…同じ中学」


観念したのか、諦めたように一言だけ


今は違う高校に通ってんのかな


「小学校も一緒?」


あたし達は、ギリギリ小学校区が別れていた

けれどその2校ともう1つ別の小学校の卒業生は、同じ中学校区

人数が多すぎて、3年間一度も同じクラスになることなく、顔も名前も知らないまま卒業することだって普通だ


「あたしの知ってる人?」


「………」


見上げても、唇を尖らせているだけで喋ろうとはしない

お互い無言で歩いていると、しばらくして里やんが口を開いた
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