雨恋~雨のちキミ~
「疲れた時は甘いものってよく言うけど、ホンマは体に良くないねんて。たんぱく質を多く含んだのがいいらしいから。お弁当の前に食べて行き」


先生から手のひらへ視線を落とすと、ゴマが振りかけられた小あじのみりん干し


「意外ですね」


「何が?」


「先生、マカロンとかあめちゃんとかのイメージあるから」


「ふふっ。確かにいくつになっても『女子』ではありたいけど、その前に保健医やから皆の健康にも気を付けてあげなアカン立場やしね」


「先生は『女子』ちゃうんですか?」


「皆とは10ぐらい離れてるからなぁー。昔自分が高校生やった時、今の私らみたいな歳の人は『おばちゃん』やと思ってたもん」


こんなに色気のある人は、おばちゃんとは言わんやろ…


ふと、さっきの先輩と先生のやり取りが甦る


『身内には優遇せーへんの』


『俺、身内ちゃうし…』


『そのうち身内になるやん』


『私のこと、そんなに嫌い?』


『………んなことないけど…』


2人の関係って、何?

もしかして先生が『例の子』?

でも『子』っていうぐらいやし、先輩と同い年か年下のこと………やんね?


「どーしたん?めっちゃ眉間に皺寄ってるで」


自分の眉間を人差し指でグリグリ押し、苦笑いする先生
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