雨恋~雨のちキミ~
「───え?」
バチッと目が合ったのは
「水月…先………輩…」
何で先輩があたしの家の前に居るん?
脳内をフル回転させても、先輩がここに来る理由が分からなくて
放心したように先輩を見上げると、眉を下げて困った顔をしていた彼がホッと表情を崩したように見えた
「知り合いなんか?」
「え…あ、うん。学校の先輩………」
「………ふーん…。じゃあ、えーわ」
くるりと方向転換し、プラプラと手を振って家の中に入っていくお兄ちゃん
それを見送ると、さっきまでほとんど聞こえていなかった雨音が耳に大きく響きだした
「………」
「………」
「………」
沈黙があたし達を包む
先輩、どうしたんやろ…
何か声掛けた方がいいんかな…
どうするべきなのか考えていると
「千賀」
突然掛けられた言葉に、ビックリして顔を上げた
「鞄」
里やんがあたしの鞄を差し出す
目を見開いたまま固まるあたしの肩にそれを掛けると
「明日の朝も迎えに来るから。………指、無理して使ったらアカンで」
背中を向けて歩き出した
遠ざかる彼の姿を見送りながら、頭の中でさっきの言葉が繰り返される
『千賀』
里やんと知り合って、今まで一度も呼ばれたことのない下の名前
バチッと目が合ったのは
「水月…先………輩…」
何で先輩があたしの家の前に居るん?
脳内をフル回転させても、先輩がここに来る理由が分からなくて
放心したように先輩を見上げると、眉を下げて困った顔をしていた彼がホッと表情を崩したように見えた
「知り合いなんか?」
「え…あ、うん。学校の先輩………」
「………ふーん…。じゃあ、えーわ」
くるりと方向転換し、プラプラと手を振って家の中に入っていくお兄ちゃん
それを見送ると、さっきまでほとんど聞こえていなかった雨音が耳に大きく響きだした
「………」
「………」
「………」
沈黙があたし達を包む
先輩、どうしたんやろ…
何か声掛けた方がいいんかな…
どうするべきなのか考えていると
「千賀」
突然掛けられた言葉に、ビックリして顔を上げた
「鞄」
里やんがあたしの鞄を差し出す
目を見開いたまま固まるあたしの肩にそれを掛けると
「明日の朝も迎えに来るから。………指、無理して使ったらアカンで」
背中を向けて歩き出した
遠ざかる彼の姿を見送りながら、頭の中でさっきの言葉が繰り返される
『千賀』
里やんと知り合って、今まで一度も呼ばれたことのない下の名前