雨恋~雨のちキミ~
「胸元の開いた服で『せんぱぁーい、あたし体が熱いんですぅー。ひょっとして熱があるのかもぉー』とか言って体すり寄せたら、男なんて一発やって」


真面目に聞いてたあたしがアホみたいやん


「………ってことは、お兄ちゃんはそんなことされて喜ぶんや」


我が兄ながら、サイテー過ぎる


「ちっ、ちゃうわ!」


さっきのあたしと同じ反応

兄妹って感じがして余計に嫌だ


「言っとくけど、先輩とお兄ちゃんは別の生きもんやの。お兄ちゃんみたいな低俗な人間と先輩を一緒にせんとってー」


ベーッと舌を出す


「何言ってんねん。そういう奴ほどムッツリなだけで、男なんて皆一緒やって」


聞きたくない聞きたくない

耳が腐る


あんなに爽やかで優しい先輩が、ムッツリで低俗なわけがない


「先輩はそんなんちゃうもん」


急いでクローゼットに押し込んだコルクボード

そこには、隠し撮りした先輩の写真も貼り付けてある

あの笑顔の裏に何かあるなんて、想像もつかない


「とにかく!先輩はお兄ちゃんとはちゃうんやからっ!」


沸いたお湯をコーヒーカップに注ぎお盆に乗せると、捨て台詞を吐いてリビングを後にした
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