雨恋~雨のちキミ~
「うっさいわ!先輩は、おにいちゃんと違って真面目やの!この、色ボケ変態クソじじい!!!」


「なっ、何やと!そしたら自分は、色ボケ変態クソじじいの妹やからな!」


『色ボケ変態クソじじい』ってこと自体は否定せんのかい…


先輩と付き合えるという有り得ない幸運に浮かれてしまい

その反動でドッと疲れていたあたしは、お兄ちゃんの相手をするのもおっくうで

階下で何やら喚いている彼を放置し、そのまま部屋に戻ってベッドにダイブした


はぁ………

先輩の彼女…か


嬉しくて頬が緩む


明日、柚羽に報告しよ

これで彼氏居ない歴=年齢から、ようやく脱却やわ!


「ん?」


右に左に、と転がりながらふとした疑問が


先輩、あたしのこと『好き』って…一回も言ってなかったよな…


彼女になってくれとは言われたけれど

好きだから付き合ってくれ、と言われたわけじゃない


あれ…?

これって、もしかして『彼女のフリ』をしてほしいってこと?


そうだ

先輩は渡邊先生のことが好きで

その先生から、知り合いを紹介するから彼女を作れと言われてて

それが嫌だから、たまたまあたしに彼女になってくれって………


空を飛んでいたのに、突然浮力がなくなって奈落の底へ落ちていくような

そんな感覚に陥った
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