雨恋～雨のちキミ～

「彼女？！…って………いつの間に出来たん？」


「昨日？」


お友達が驚いた表情で先輩を問い詰めると、なぜか疑問形で答えていた


「えっ？自分……忘れられへん人が………って………。ええっ？！」


相当驚いたのであろう、あたしを観察するかのように上から下まで見ながら叫んだお友達の声に

周囲の人達が、何事かとこちらを向き始める


「先輩！先輩っ！」


名前も知らない先輩を小声で呼ぶ


「ん？」


未だ、興奮冷めやらぬらしい


「皆、見てますよ」


あたしの言葉に周囲をグルッと見回し、ばつの悪そうな顔でまたあたしを見下ろした


「ごめんな。興奮してつい………。んで、彼女何て名前なん？」


あたしに直接聞くのは悪いと思ったのか

先輩の方に向き直り、あたしを指差す


「恵千賀子ちゃん」


「へぇー」


関心があるのかないのか…


「あ！俺、鷹野涼（たかのりょう）。よろしく、千賀ちゃんに千賀ちゃんのお友達」


「うち………『千賀のお友達』じゃなくて『甲斐柚羽』って、名前あるんですけど…」


不機嫌そうな柚羽の声


鷹野先輩

柚羽の苦手なタイプそう

ってゆーか、初対面でいきなり『千賀ちゃん』って………

あたしもあんまり好きなタイプちゃうな…うん