雨恋~雨のちキミ~
ほっといてくれ


とは思ったものの

『熱い夜を過ごすかも』の部分に目が行き、頬が熱くなる

お兄ちゃんも、彼女とそういうことをするんだろうか


うわっ…

アカン!

生々し過ぎる…


何度も頭を左右に振り、余計な思考を振り払った

あっかんべーしたスタンプを送り返し、ポケットにスマホを押し込む

水月先輩からの連絡だけを願って………



※※※



6時間目の授業が終わり、掃除の時間になった

あたしは、調理実習室の掃除当番

教室棟を突き当たり、廊下を90度曲がると『特別教室棟』になる

1階は図書室とコンピュータ室があり

2階は視聴覚室と理科実験室

音楽室と美術室、書道室が4階

調理実習室は3階で、準備室を隔てて被服室があり

他にも多目的室がある


いい匂い…


さっきまで、どこかのクラスが調理実習をしていたのだろうか

階段を上がり3階に辿り着くと、廊下には甘い匂いが漂っていた


クッキー………かな


匂いで調理内容を想像しながら実習室の扉を開ける


「え………」


それだけ呟き、思わず固まってしまった

電気が消された教室内

誰も居ないと思っていたそこには、こちらを振り返った男女の姿


「………先…ぱ、…っ」


目の前には、知らない女の人と水月先輩
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