雨恋~雨のちキミ~
「あ………あの…」
今、掃除の時間───
そう言いたいのに、喉の奥から声が出てこない
甘い匂いに包まれている2人を、目を逸らすことが出来ないまま見つめていると
「ごめん、さっきの忘れて?私………先、教室帰るな」
困ったように微笑みながら先輩に語り掛け、あたしの方へ駆けてくる女の人
すぐ目の前まで来た時、ボソッと何かを呟いた
「え?」
ちゃんと聞き取れなかったので彼女の方を見ると、キッと睨まれ
あたしが固まって途中までしか開けることが出来ずに握り締めていた扉を勢いよく全開し
そのままの勢いで走り去ってしまった
………
聞き間違いじゃなければ
『邪魔』
確かそう言われたはずだ
告白でも………してたんかな…
先輩はモテるから、そういう状況があってもおかしくはない
だけど、今はあたしが先輩の彼女なんだ
「恵ちゃん、ここの掃除?」
相変わらずの優しい笑顔
『恵ちゃん』
さっき食堂では下の名前で呼んでくれたのに
ズキリと音を立てる胸
それでも、先輩の前でそんなことを言うわけにもいかず
「はい。先輩は調理実習やったんですか?」
笑顔で聞き返した
「そーやねん。あ、帰りに渡そうと思っててんけど。…はい」
差し出されたのは、ビニール袋に入れられたプレーンクッキーとチョコチップクッキー
今、掃除の時間───
そう言いたいのに、喉の奥から声が出てこない
甘い匂いに包まれている2人を、目を逸らすことが出来ないまま見つめていると
「ごめん、さっきの忘れて?私………先、教室帰るな」
困ったように微笑みながら先輩に語り掛け、あたしの方へ駆けてくる女の人
すぐ目の前まで来た時、ボソッと何かを呟いた
「え?」
ちゃんと聞き取れなかったので彼女の方を見ると、キッと睨まれ
あたしが固まって途中までしか開けることが出来ずに握り締めていた扉を勢いよく全開し
そのままの勢いで走り去ってしまった
………
聞き間違いじゃなければ
『邪魔』
確かそう言われたはずだ
告白でも………してたんかな…
先輩はモテるから、そういう状況があってもおかしくはない
だけど、今はあたしが先輩の彼女なんだ
「恵ちゃん、ここの掃除?」
相変わらずの優しい笑顔
『恵ちゃん』
さっき食堂では下の名前で呼んでくれたのに
ズキリと音を立てる胸
それでも、先輩の前でそんなことを言うわけにもいかず
「はい。先輩は調理実習やったんですか?」
笑顔で聞き返した
「そーやねん。あ、帰りに渡そうと思っててんけど。…はい」
差し出されたのは、ビニール袋に入れられたプレーンクッキーとチョコチップクッキー