雨恋~雨のちキミ~
「中学が同じって言っても、この多感な時期に男女が仲いいって特殊やろ」


「………そぉ?」


そんなもん…なんかな…


首を捻って考えてみても、彼には柚羽と同じような感情しか持てないのであって…

里やんは恋愛対象にはならない


「うーん…。やっぱ、特別な感情はないなぁ」


「何の話?」


あたし達の間に割って入るように、隣の席の塩野創(しおのはじめ)が顔を覗かせた


「女子の恋愛話に首を突っ込んでくるなんて、自分デリカシーないな」


言葉自体はキツいのに、ケラケラと笑う柚羽の性格のせいか嫌味がない


「恋愛の話してたんや?誰?恵の?」


「そぉそぉ。ちょー聞いたってや。この子な、未だに彼氏出来たことないんやけどさ」


「ちょっ…柚羽!」


自分の恋愛経験値の低さを暴露され、慌てて会話に割り込む


「ふーん。今時貴重やな」


「やろ?」


だけど、あたしをよそに2人の会話は進んでいく


「でも、えーんちゃう?誰とでも付き合う奴より」


『ホンマに好きな相手と付き合う方が』


そう付け加えた塩野くんの言葉が、頭の中でグルグル


本当に好きな相手…

ってことは、あたしは一生誰とも付き合われへんのかな…


キュッと胸が苦しくなって、短く溜息を吐いた
< 6 / 90 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop