雨恋~雨のちキミ~
もう脳内はお花畑

その時───


「あ、やっと来たんや」


先輩の横から顔を出し、こちらを見て微笑む鷹野先輩


「待ちくたびれたわー」


へ…?


意味が分からず、目を見開いたまま彼をガン見


「ん?どしたん?」


先輩も首を傾げ、あたしの目の前で手を左右に振り確認する


「おーい、千ー賀ーちゃーん!」


その声にハッと我に返った


「何で鷹野先輩が居るんですか?」


単刀直入に聞くと、待ってましたとばかりにヘラッと笑う


「よくぞ聞いてくれました!実はな、水月───っぐ…」


顔のすぐ横に人差し指を立て、ズイッと身を乗り出してくる鷹野先輩についのけ反ると

襟首を掴まれた先輩の首がおもしろいほど『く』の字に曲がった


散歩の時言うこと聞けへんと先に先に行く犬が、飼い主に思いっ切り首輪を引っ張られたみたい

………って、犬なんて飼ったことないけど


頭の中には、犬耳と鼻、尻尾、そして首輪をつけお座りをする高野先輩と

首輪に通したリードを握り締める水月先輩の姿


その光景に思わず噴き出しそうになる


「痛いなぁー、何すんねん」


「自分…ペラペラと、要らんこと喋り過ぎ」


おおおおお…

ふて腐れた水月先輩、めっちゃレア!
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