雨恋~雨のちキミ~
昼休み終了5分前の、予鈴が鳴る


「なぁなぁ」


隣を見ると、自席に戻る柚羽の背中を見送る塩野くんが頬杖をつき、体だけこちらを向けていた


「何ー?」


「あんな、さっきの話やけど…」


さっきの、話?


「………何やっけ?」


「彼氏が出来たことない、ってやつ」


彼の視線が真っ直ぐこちらを向く


うっ…

またその話………


「自分、2組の里中と付き合ってるんちゃうの?」


「付き合ってへんよ!」


「そうなんや」


「何?あたしら、付き合ってるって噂されてるん?」


「あんだけ一緒に居たら」


そんなにしょっちゅう居ったっけ?


確かに一緒に帰ったりはしてるけど、別に寄り道してるわけでもない


「ま、他人は人の色恋沙汰によく食いつくけど、内容なんて本当のことかどうか分からんし。誤解されたくなかったら、ちゃんとハッキリしときや」


誰に何を誤解されるのか

何をハッキリさせたらいいのか


授業開始を告げるチャイムと同時に入ってきた先生に遮られて聞くことが出来なかったあたしは、授業に集中することが出来ず、頬杖をつきシャーペンをクルクル回しながら窓の外の青い空を見上げた
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