雨恋~雨のちキミ~
※※※



晩ご飯を食べただけなのに、なぜかものすごく疲れた気がする


それもこれも、お母さんのせいや


お父さんがシンガポールに単身赴任して3年

なので、もう普段から母子家庭みたいな環境だ

力仕事を除いて、父親の役割まで果たすお母さん


それにしても………


『羽目外して妊娠させなや』


『まだ高校生やし、妊娠させたところで責任なんか取られへんもん』


2人のやり取りを思い出し、カァッと顔が熱くなる

手も繋いだこともないあたしには刺激が強過ぎだ


そう………やんな…

付き合うって………そういうこと、するんやんな…


思い出したのは、突き指をした日

エントランスで里やんの左手に包み込まれた自分の右手の温もり


里やんとでもあんなにドキドキしたってことは

先輩と手繋いだら、心臓壊れるんちゃうんかな…


それこそ、キスやその先なんてまったく想像もつかない


今日は鷹野先輩が居ったけど…

明日は2人で帰れるかな


『今日は全然喋られへんかったな(笑)

もうすぐテストやけど、勉強いけそう?

また明日、学校で』


ご飯を食べている間に先輩から来たシンプルなメール

それでも、皆の憧れの人とこんなやり取りを出来ることが幸せで

スマホを胸に抱え、布団の上で悶えるこの姿は

誰にも見せられないと、一人苦笑した
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