雨恋~雨のちキミ~
「うわっ、冷た!アカン、今ので俺のガラスのハートがぁ…」


「ご愁傷様です」


「千賀ちゃんは、クーデレタイプなんかな。それはそれで好きやけど」


……………


もう、言葉にするのすら面倒だ


「嘘、嘘やって。そんな引かんとって?実は、千賀ちゃんに言いたいことがあって来てん」


「………言いたい…こと、ですか…」


何やろ


「自分、ホンマに水月と付き合ってるん?」


「つ…付き合ってますけど?」


真剣な眼差しに、一瞬戸惑う


「ふーん…。水月にファンクラブあるのは知ってるんやんな?」


「知ってますよ」


「それなりの覚悟はあるってこと?」


それなりの………覚悟…


『抜け駆け禁止』の鉄の掟を破った今

2、3年生の先輩達からどんな仕打ちを受けるのか

想像もつかないけれど、背中に悪寒が走る


「水月に迷惑掛けなや」


「…鷹野先輩に言われなくても………ちゃんとします」


何がちゃんとなのか分からない

けれど、水月先輩を困らせることだけはしたくない


「あ、そ。それやったらいいんやけどね。んじゃ、せっかくやし一緒に学校行こか」


同じ方向に向かうのに嫌とは言えず

履き忘れたままの靴下を履き、鞄を持って家を出た
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