雨恋~雨のちキミ~
※※※



「恵さん。ちょっといい?」


「え………あ…。………は、い…」


まさか朝から待ち構えてるとは………


エントランスで待っていたのは4人

皆、あたしを睨みつけていた

どうしてあたしの名前を知っているのか

考えても答えは出ないけれど───


「こっち」


前後を挟まれ、明るい廊下を移動する

鷹野先輩の姿はいつの間にか見えなくなっていた


「で」


連れてこられたのは、裏門にほど近いグラウンド横の体育用具室

………の壁際

グラウンドから丸見えのここは、本校舎から死角になっている


「自分………水月くんと付き合ってるってホンマ?」


エントランスで声を掛けてきた人が口を開いた

先輩のことを『くん』付けということは、2年生か3年生

他の3人がどういう関係か分からないけれど

きっと、先輩のファンクラブの人達だろう

こんなにいい天気なのに、あたし達を取り巻く空気は重苦しい


「食堂でそんな話聞いたって子が居るんやけど」


やっぱり、聞かれてたんや…


あたしの脳内でヘラヘラ笑う鷹野先輩を

紙くずみたいにグシャグシャに丸めて潰した


「ちょっと!聞いてんの?」


「アンタ、1年のくせに生意気!」


次々と飛んでくるヤジ

だからといって、言われっぱなしは腹が立つ
< 77 / 90 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop