雨恋~雨のちキミ~
「だったらどうなんですか?」


つい口をついて出た言葉


『水月に迷惑掛けなや』


さっき鷹野先輩に言われたことが頭の中で何度もリピートされる


「それって、あくまで推測ですよね?憶測だけでこんなことして…。恥ずかしいとか思わないんですか」


「なっ…」


あたしの目の前で仁王立ちしていた先輩が

ものすごい形相であたしの襟首を掴み、腕を振り上げた


殴られるっ


反射的に目を閉じ、顔を反らした瞬間───

カシャッという音が耳に響いた

皆、一斉に音の方を振り返る

そこには


「塩野…く…」


「ちょっ、何撮ってんのよ!」


「暴力行為?」


フッと笑うその表情は、調理実習室で見た彼と同じで

笑っているのにどことなく冷たく感じた


「ケータイ出しや!」


「アンタも1年やろ!うちら、バックがついてるんやからね!」


「痛い目見たなかったら、サッサとしーや!」


恥とか、道徳とか………

持ち合わせてないんか


開いた口が塞がらない


「あ…自己紹介遅くなりました。俺、バスケ部1年の塩野です。水月先輩にこの写真見せられたくなかったら、その子離してもらえません?」


「え───」


彼の言葉に、場の空気がフリーズする
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