君に捧げる花束を
坂田君が面白そうにニコニコしながら鈴村君の手に顎を載せると、鈴村君が嫌そうに、思いっきりその手を引いた。
弾みで、坂田君が机に顎を思いっきりぶつけて、ガツンと音をたてた。
あれは絶対に痛い……。
「なんで唯人が好きなの?あいつの何がいいの?」
いきなりそんなことを言われて、清花はちょっと面食らう。
清花の顔色が変わったのを見て、鈴村君ははっとした表情を浮かべて、弁解するように両手を振った。
「いや、その…。芦屋さんが唯人の事好きだっていうのは、クラス中に知られてるから…。そこまでなってるのに、よく好きでいられるなって思って。」
確かに。
自分で言うのも悲しいけど、あんなにアタックしまくってるのに、飄々とかわされて。
それなのに、懲りてないって、良く言えば粘り強いし、悪く言えばしつこいのかもしれない。
それでも。やっぱり私は諦めきれないほど、函南君が好きなわけで。
「なんで、唯人を好きになったの?」
それは、他の人に伝え切れるほど、単純な気持ちじゃないんだ。