君に捧げる花束を
ひとつの可能性
「集まってー!
いやいやいや!もっと右!7組はもっと前出てー!」
「間奏の所では女子のヴェールって離したままだっけ!?」
「違う!持つの!最後まで!」
緩やかになびく風に、夏の匂いが混じり始めてきた頃。
体育の授業は、ここ最近、体育祭のダンスの練習に切り替わっていた。
体育祭実行委員は全員前に出て隊形の調整をしては、自分のクラスと皆の動きを確認したりしていた。
屈伸をしたり、回転したり、普段慣れない動きに皆なかなか一つの動きになれない。
特に女子は小道具として、薄いガーゼで作った色んな色のヴェールを使うので、顔に引っかかったり上手く操れない子が続出中である。
色とりどりのヴェールが翻る様子は、ダンスを習っていた当時の事を思い出させるので、清花はなんだか懐かしかった。
「このピラピラした布、ちょー顔に引っかかる!めっちゃムカつくわー。」
イライラした声で美乃莉ちゃんが黄色のヴェールを振り回す。
「美乃莉ちゃん、手を伸ばして思い切って回転させれば自然となびいてくれるから!こんな感じ!」